ご提案特集 | 有限会社クリアライズ

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Vol.13 レタス物語・・・このレタスだけ鹿が食べていく

山梨 清里高原 代表生産者 浅川 孝

三年前からこのあたりに鹿が出るようになったんですが、うちのレタスだけを鹿が食べるんです。キャベツも食べられた。他の家の畑のキャベツやレタスは食べないのに。うれしいやら悲しいやら、複雑な気持ちでした。レタスは苦味があって普通動物は食べないのに、うちのレタスは食べた。鹿も味がわかるんですね。

苦心の末に出来た高原レタス

私の農場は清里といいます。山梨で一番標高の高いのが清里です。昔おじいさんの時代に、同じ清里村の少し離れた土地からここに開拓に入り、全部自分たちで切り開いたそうです。当時は牛や馬も飼えなかったので、木を切り、切り株を掘り起こすのも全部手作業でやったと聞かされました。十数軒の開拓家族が、順番に各家に行って助け合って作業したそうです。当時の農家の団結はすごかったらしいです。

そのあとを継いだのが父で、父の姿を見て子供のころから農業をやりたいと思っていました。子供のころは、単純にトラクターの運転をしたかったのです。先見の目があった父なので収入はよかったですから、高校生のころには農家をやれば儲かるというイメージがありました。夏休みには勉強しないで、バリバリ仕事しました。農業をやるために、大学は日大の農獣医学部に入って卒業しました。

その当時、父はキャベツをやっていました。私は最先端のクローン技術を使って花を作ろうと、親父の仕事を手伝いつつ花の栽培を始めました。その一方で、キャベツは値下がりを始めていたのでやばいと思ってましたから、試験的にレタスをはじめました。レタスは難しくて、最初の5年間はまるっきりできなかったんです。

花はスターチスという品種で、花の成長点を取り出して、それを寒天に埋め込んで育てるんです。大きくなったら寒天から土に植え替え、一鉢出荷していくらという仕事でした。育苗して売るんですが、やればやるほど儲かったんです。市販の土だとうまくいかず、自分が作った土だとうまくいったので評価されました。クローン栽培ということでインパクトがあって、山梨県から農家の人が見に来ました。注目を集めたし、面白かったです。花の栽培は軌道に乗ったんですが、人手がかかりすぎて、多い時には十人程使いました。コストがかかるので売上の割には利益が出ません。それでもサラリーマン程度の収入はなりましたが、十年やってバブルが崩壊して二年後、まあこのぐらいだろうと潮時を感じたんです。そのとき「食べ物を作っていくならどんな時代でも生きられるだろう。」と考えました。

かたや試験的に作っていたレタスが六年目に入って、レタス産地の人との出会いで教わり、やっといいものが出来始めたんです。それまでの五年間は、分球したり、結球しないで花が咲いたり、商品価値がなかったんです。それが土と品種を変えることで、六、七月にもレタスが採れるようになったんです。それまではキャベツとレタスの違い、要するにアブラナ科と菊科の違いをわかってなかったんです。キャベツの感覚で作っていたので、窒素分が多過ぎて肥料過多だったんです。もう一つ、だめだったのが品種。長野県の川上でうまくいった品種を、川上より早い時期に蒔いてみました。それで七、八月に栽培できるようになったんです。

川上は標高1400メートルから1500メートルで、清里より二、三百メートル高い所です。実は川上には二十年前から、いいレタスを作れる人がいたのです。だからうちで出来ないのはおかしい、と思ってました。春は作れたし、レタスの単価もよかった。キャベツの倍の単価です。トラックで運んで山梨の市場にいくのですが、最初の頃出荷できた時期は6月10日から7月10日の一ヶ月だけでした。それだけに7月、8月も出したかったんです。その頃、山梨のレタスは私しか出してなかった。最初の五、六年間は独占の時期がありました。その間に夏のレタスを何とか出せるようになりました。今でも夏つくるのは難しいですよ。川上だとおきない高温障害が発生するからです。

キャベツでは父が築いた信用があって、スーパーの契約栽培をやっていました。それでレタスの取り引きも、スーパーとできました。最終的には9月下旬まで出荷できるようになりました。春も早いものは2月に種を蒔いて5月下旬に出荷です。これが三、四年前にやっと出来るようになった。早生の品種を使ったからできたんです。育苗ではハウスにボイラーを入れました。それで2月下旬に種まきできたんです。それまでは暖房に電気を使っていたのですが、これだと6月10日にならないと出荷できなかった。早生品種とボイラーで5月下旬からのスタートができたのです。

RFとの出会いがレタスを変えた

クリアライズの岩瀬社長と出会ったのが5年前です。岩瀬社長と出会い、RFさんのレタスを知って、レタスの感覚が変わりました。レタスの扱いがまったく違うんです。RFに出すときはレタスさまさまで、ものすごく取り扱いに気を使います。スーパーには外葉を付けて出荷しますが、RFさんには外葉を剥いて歩留まり重視。これでガラッとレタスのイメージが変わりました。高級果物は単価が高いので丁寧に扱い傷まないようにするでしょう。それと同じ感覚でないといけないことに気がついたのです。外葉を剥くと柔らかい部分が出るので大切に扱わないと傷みが早く歩留まりが低い。コンテナに二段に重ねて入れるとだめなので、平コンテナにして、さらに桃と同じように下にネットを入れて出すようになりました。他の人はちょっとびっくりします。

出荷にそこまで気を使うと、育成でも一つ一つのレタスを大事に育てるようになりました。レタスが高級果物の感覚に変わったんです。それが大きい。すると出来るレタスも変わってきました。それを評価してくれるのが岩瀬社長でありRFさんです。

平コンテナにネットを入れ始めて二年です。ものもよくなり重量も出て、収入も上がりました。量も出せましたし、質的にも夏を通して返品のこないものが出せた。もし手を抜けば、手を抜いただけもろに出てしまいます。同じ畑に一日一回行くのと、二回、三回いくのではできばえが違います。いろいろ気がつきますから。病気、虫、育ち具合に目がいきます。今は暇があれば見に行き、畑を覗いています。夏の最も忙しいときでも朝夕の二回は必ず見に行きます。それで目ざとくなりました。畑の違いに目ざとくなった。虫、病気、畑の地力。同じ畑でも生育度合いにむらがあると波を打っているんです。それに気付いて、畑の場所によって基肥や石灰のバランスを変えるようにしました。こうして畑のどこの部分を土壌検査しても、同じような数値がでるようになりました。

土へのこだわり

昔は何でもいいから堆肥を入れればいいと思っていたんです。そのためカリが過剰に残りました。とんでもなかった。それを直すのに今も苦労しています。堆肥がいいというイメージがあったので、以前は生堆肥も入れてました。これは絶対駄目。生堆肥が一番悪いのは尿素とカリが残ることで、チッソにしても有害なチッソがでるんです。

今、牛糞は二割に抑えています。牧場の馬糞を全部引き取らせてもらって、二年から三年寝かした馬糞に炭を入れ、堆肥作りをガラリと変えました。牛糞は牛が全部消化した残りなので、滓なんです。馬糞は繊維分が半分残っているし、有機質も残っている。牛糞も二、三年寝かせて完熟にして水分をなくせばよくなるけど、それでもチッソ分が多いんです。馬糞にしてから有害チッソがなくなり、完熟の速度も速くなりました。炭はにおい取りですが、地力も上がるというので使っています。確かに昨年はいいレタスが多く取れました。

有機肥料も意識して使っています。私は畑自体を大切にしていて、特に有機質を大切にし、化学肥料はひかえています。石灰も貝化石をつぶしたものを使っています。

一番のこだわりは一つの畑で年一回しかレタスを作らないことです。畑に有機質を残したいので、一回栽培が終わったらすぐに燕麦を蒔くのです。燕麦は雑草の種を寄せ付けないので、除草の効果もあります。秋に60センチほどに育った燕麦を畑にすきこみます。ソルゴも試しましたが、強くて腐りにくく、ソルゴの種が畑に残るとマルチを突き破ってくるし、腐らすのに時間がかかるのでやめました。燕麦は土の中の線虫を殺せるので三年前から使い出しました。燕麦の種は、いい値段がするんですよ。手間もかかりますからやらない農家が多いんです。私は惜しみなくお金と手間を畑にかけます。だから他の畑と比べて土が軟らかい。土が固まらないんです。ふかふかの土です。それでいて雑草が生えない。草をはやさないために燕麦をはやしているんです。こうして自然農法も追究しています。

結局、畑が一番大事です。

結局、畑が一番大事です。人の畑を借りておいて、堆肥入れないで連作し、作れなくなったら返す人もいます。それはやりたくない。借りた畑でも、使い続けるためによい畑にしたい。返したあと、その畑でいい野菜ができたのでびっくりされたこともあります。土手の雑草もいつもきちんと刈るんです。いい管理をしておかないと、畑も貸してもらえなくなります。うちは貸主とのトラブルは少ないですよ。

農薬も、安全性の面にはいつもこだわっています。見た目にはわからないけど、まじめに取り組んでいると思います。農薬散布の際にも近隣の畑に農薬が飛ばないようにドリフトとかに注意し、散布の日数や倍率にも気を配ります。白菜に比べるとレタスは半分の農薬ですみますね。何より土がよくなると、農薬は少なくてすむようになるのです。

私はレタスの品種を選ぶときに、作りやすいだけでなく、自分が食べておいしいものを選びます。それはいつもこだわっています。少し病気になりやすい品種でも、うまいものがいいと。スーパーでは直接に消費者の言葉が聞けます。反応がくるんです。おいしいものはおいしいといってくれる。だから自信もって出せるんです。土作りによって、同じ品種でも全然味が変わってくるんです。もし化学肥料だけを使えば味が違う。自分が食べてうまければ、人もうまい。有機質を多く畑に入れればうまくなります。

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